本を読む

たきのにっきです。

「ドアの向こうのカルト 九歳から三五歳まで過ごしたエホバの証人の記録」佐藤典正 を読んで

「ドアの向こうのカルト 九歳から三五歳まで過ごしたエホバの証人の記録」

著:佐藤典正

 

宗教団体:エホバの証人に九歳から三五歳まで所属していた著者の

内部からみた記録と脱会まで。

 

オススメ度:★★★★★

 

 

感想:

経験しないとわからない内部についての記録を読めるのでかなり興味深かった。

エホバの証人村上春樹の「1Q84」で青豆の母が所属している宗教団体として描かれていることで知っている方も多いと思います。

 

 

1.宗教団体の仕組みが興味深い

2.海外在住時にどうしてエホバの証人の方が訪ねてきたか納得できた

3.考えることの大切さについて学ぶ

4.人の見せ方、観方、本当の自分

 

1.宗教団体の仕組みが興味深い

 

エホバの証人って聞いたらカルト、宗教団体とそのイメージや、どの団体かという以前に新興宗教というだけで、単に毛嫌いしてしまう人も多いと思う。

 

エホバの証人を検索したり、前に調べたときには、

輸血NGとか、行事参加NG、鞭でお説教とか、勧誘に子供を連れていくとか、わかりやすくすぐになんだか嫌だなと思うような内容がすぐでてきて、この宗教よくないでしょ。って内容がでてきた。

なのでわかりやすく、そんな宗教こわいな、と短絡的に思っていた。

 

だけれど、これだけ続いて会員もいるということは、何らかの理由があるのも一つ。

 

やはり九歳から過ごしていた記録とあるように、

エホバに所属してできる絆や、会員同士の深さについての描写などは、

会員でない限りわからないし、会員を姉妹、兄弟と呼び合いその付き合いの深さが垣間見れるこの本を読んで、所属間の同士の強さはこの本を読むまで知らなかったことだなよ思った。

 

 

さらに、会員以外と結婚できない、婚前交渉なし、デートもなし。

世界の終わりがあるので進学もキャリアも奨励されない、という

様々なルールについても学び、

新興宗教だと気づいたならなんでやめないのか?」という単純な話でなく、

母も入っていれば、父も入っている、兄弟もはいってる。

さらに結婚相手もさらにその家族も所属している。

これは途中から変わったとも書いてあったが、会員を増やすための勧誘する行動をしている奉仕作業をつんでいる方が、徳があるとされるので、

結果的に宗教に深入りすればするほど、抜けるのが難しい構図がある。

 

コミュニティーが強いのが特徴だが、強いうえに宗教外の人は「世の人」として

あまりかかわるべきでない、とされているので、いったん世界にはいってしまえば

かないり他の人間の助言をきいたり、自分の宗教への疑問を口にするのは難しい環境だと思った。

 

 

2.海外在住時にどうしてエホバの証人の方が訪ねてきたか納得できた

 

この宗教団体について何で名前がでるほどすぐ覚えているかと思うと、

海外在住時に、日系オーストラリアのお家にお世話になっていたことがあるのだけれど、その家に訪問してきたこと。

また私の職場にも訪問してきて、その際になぜだか、私の名前まで知っていて

どうして?とかなり驚いた記憶があったからだ。

やはり勧誘のための運動が色濃いのはなぜかというのも、

わかることができたのがよかったし、こんなに日本人が少ない中の

コミュニティーでこういう活動をしているのは目立つという意味で逆に心配にならないかとも思ったのだけれど、

この本を読んで本人たちはあくまでも善いことをしている、という気持ち故に行っている行動なので、私みたいな外の人の意見なんて勧誘に成功しない限り、本当にどうでもいいんだと思った。

 

 

3.考えることの大切さについて学ぶ

 

読めば読むほど、抜けるのにはすさまじい意志がないと難しいと感じさせられた。

本人が疑問に思ったことに対して、事実はどこからきているのか、という疑問をもったからこそなしえたわざで、

ここに情報があります。信じます。でなくて、

その情報のソースはどこからきているのか、そのソースは本当に正しいのか、

など、疑問に思うこと、また深堀していく姿勢が大事だと感じた。

 

4.人の見せ方、観方、本当の自分…?

 

あまりにも著者の体験またこの本が面白かったので、

ググりました。「佐藤典雅さん」そしたらタイミングよく2020.8.19更新の記事を見つけました。↓

 

「エホバの証人」元信者の告白。私が25年間の洗脳生活から逃れるまで(佐藤 典雅) | 現代ビジネス | 講談社(1/7)

 

この著者は、父が銀行の駐在で、アメリカにいき、引っ越しを繰り返す帰国子女。

母も大学卒業で、ヤフーに勤め、東京ガールズコレクション仕掛人の一人。

 

もしこの上の2行だけ聞いて、まったく違うマーケティングの記事が佐藤典正により書かれていますと書いてあったら

この本の中にあるような、壮絶な経験をしているとは思わず、

恵まれた家庭環境にうまれた男性が書いてるのか~くらいにしか思わないと思います。

 

しかも現在は福祉業界で働かれているよう。

 

 

この方の経歴をみて実際の本の内容を読むと、

数行の見せ方で最強の見せ方もできるし、

もしエホバの二世として育ったことに焦点をあてたところだけ書くと困難極まりない様子だけをみせることもできると感じた。

 

紹介文ですべてを悟ったと思うのは難しいのとともに、同じ人間でも書き方で相当違った見せ方ができてしまう、

見せたいとこだけみた分では本人のすべてがみれない、ということについて考えました。

 

 

 

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このタイミングで

現代ビジネスで連載?が始まったようなので楽しみです。